高齢者の足のしびれや冷えはなぜ起こる?
高齢者がよく経験するしびれの原因とは?
歳をとると体のあちこちが痛んだりしびれたりして、ちょっとしたことではいちいち病院へ行かないという人と、何もかも大きな病気につながっている気がして毎日のように病院へ行く人といろいろいますよね。
高齢者によく見られる手や足のしびれに対しても、きっと対応は様々でしょう。しかししびれにも一瞬で元に戻るものから長期に渡ってじわじわと続くもの、力が入らなくなるものなどいろいろなタイプがあり、中には見過ごしてはいけないものもあります。ここでは手足にしびれを発症させる原因についてどんなものがあるのかを見ていきたいと思います。
手のしびれの原因
頚腕症候群
手を酷使する人に起こりやすいとされる症状です。手や指、首、肩、腕などに痛みやしびれ、だるさなどが生じます。直接的な原因はさておき、このような症状を伴う状態を表す総称として用いられています。検査によって痛みやしびれの原因が明確になり、病名がはっきりするまでの間、症状を示す呼称として使われるものです。
胸郭出口症候群
鎖骨と第一肋骨の間の隙間が何らかの理由で狭くなると、そこを通る神経や血管が圧迫されることで肩こりや腕・手などのしびれ、だるさなどの症状が起こります。さらに進行すると耳鳴り、ふらつき、後頭部や耳、口周辺のしびれなどの症状が出る場合もあります。
末梢神経障害
脳や脊髄から分かれて全身に分布する末梢神経(運動神経・感覚神経・自律神経)が損傷し、手足のしびれ、発汗障害、知覚障害などを引き起こすものです。抹消神経が損傷する要因には、骨折や脱臼、腱鞘炎、痛風、関節リウマチ、軟部腫瘍などがあります。
頸椎椎間板ヘルニア
加齢や運動による負荷、外傷、あるいは遺伝的要因などによって、椎骨間でクッションの役割を果たしている椎間板に亀裂が入り、内部の髄核が飛び出した状態です。髄核が神経組織を圧迫して、手足のしびれや痛み、運動麻痺などの症状を引き起こします。
変形性頸椎症
椎間板が疲労や老化によって変形し、すり減ることによって骨棘が飛び出すほか、靱帯が厚くなることで脊椎管が狭くなった状態です。脊髄や神経が圧迫されるため首の痛みや肩こり、手足のしびれなどの症状が表れます。
足のしびれの原因
腰椎椎間板ヘルニア
頸椎の椎間板ヘルニアと構造的には同じです。腰椎の椎間板が損傷することで周囲の神経を圧迫し、腰や臀部、下肢に痛みやしびれが起こります。椎間板が損傷する原因としては、頸椎と同じく加齢や運動による負荷、外傷、遺伝的要因が考えられるほか、姿勢が悪いことや喫煙なども挙げられています。
腰部脊柱管狭窄
加齢を始めとした様々な原因によって骨や関節、椎間板、靱帯などが厚くなり、脊柱管が狭くなった状態です。これによって神経や血管が圧迫され、腰痛や下肢のしびれを引き起こします。
下肢閉塞性動脈硬化
下肢の大血管が狭くなったり詰まったりすることによって、下肢に冷えやしびれが表れる病気です。足先の冷えやしびれなどの初期症状から、歩行によるふくらはぎの痛みを伴う中等症を経て、じっとしていても足が刺すように痛むようになり、最終的には足先に潰瘍ができて壊死するため切断が必要になります。高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、肥満、慢性腎不全などによって引き起こされやすい血管の病気です。