高齢者に多い足の甲の痛みと腫れの原因
足の甲が痛い・腫れているときに考えられる要因
疲労骨折
<疲労骨折とは>
骨折というと強い衝撃によって骨がボキッと折れるというイメージがありますが、同じ箇所に弱い力がくり返し加わることによっても骨は折れます。これが「疲労骨折」です。本人にしてみれば痛みはあるけれどもぶつけたりひねったりした覚えがないため、骨折していることに気付くのが遅れるケースが多いようです。スポーツなどの短期的な集中トレーニングなどで起こりやすいものですが、筋力不足や骨密度の低下によって日常生活でも起こりうるため、高齢者にもよく見られます。
<治療法>
軽度の疲労骨折では骨にヒビが入った状態であるため、安静にして栄養療法を行います。骨折に気付かずそのまま動き続けて骨が完全に断裂してしまった場合には、ギブスを装着した上で栄養療法を行います。
<予防法>
疲労骨折を引き起こす要因として、無理な動きあるいは不適切な動きの反復や、靴による極度の締め付け、カルシウム不足などが挙げられます。疲労骨折を予防するにはこういった要因を避けること、特に高齢者は無理な動きをしないよう気をつけること、そして骨密度の低下を改善するためにカルシウムを摂るよう心がけることが必要です。

腱鞘炎
<腱鞘炎とは>
腱鞘炎というと、スポーツ選手やピアニストが訓練をしすぎたことによって「手」が炎症を起こすもの、というイメージが強いですが、特に酷使していない場合に発症することもあれば、足に出ることもあります。突然足の甲が痛んで歩けなくなったという場合は腱鞘炎にかかっているケースが多く、靴との相性の悪さや、肥満による足への負荷のかけすぎなどが原因であることが多いようです。合わない靴を履いて毎日買い物に行くだけでも腱鞘炎になることもあるため、高齢者でも注意が必要です。
<治療法>
ステロイド注射が最も一般的です。また同時に痛みが治まるまで安静にする、ある程度治まった後も運動を制限した生活を送りながら治癒を目指すといった治療が行われます。
<予防法>
運動による腱鞘炎を予防するには同じ部分を酷使し過ぎないよう練習メニューや頻度を見直すことが重要です。また、日常生活内で突如足に起こる腱鞘炎の原因である「負荷のかけ過ぎ」を避けるためには、履きやすく負担の少ない靴を選び、紐で締め付け過ぎないようにする、体重を減らす、といったことが推奨されています。

痛風、偽痛風
<痛風とは>
足の甲が腫れていて痛みを伴っている場合に最初に脳裏をよぎるのは痛風かもしれません。痛風とは体内に溜まった尿酸が結晶化して関節炎を引き起こすものです。発作が起きたときは動けなくなるほどの痛みと腫れを生じます。
<偽痛風とは>
尿酸ではなくピロリン酸カルシウムの結晶が関節に沈着することで、腫れや痛みなどの症状を発生させるのが偽痛風です。症状が痛風によく似ていますが、痛風が足首や親指の付け根などに出やすいのに対し、偽痛風が最も出やすいのは膝関節。手や足、股、肘関節に出ることもあります。軟骨石化症とも呼ばれます。
<治療法>
痛風も偽痛風も、痛みと炎症を取り除くためにまず非ステロイド抗炎症薬の投与が行われます。そして痛風の場合は同時に尿酸値を下げるための投薬も行われます。また、いずれの場合も生活習慣の改善を並行して行います。
<予防法>
痛風を予防するには尿酸値を上げないよう気をつけること、偽痛風は原因物質であるピロリン酸を分解する肝機能を高めることが重要ですが、そのためにはいずれも適度な運動をする、水分を十分に摂る、そして太りすぎの傾向にある人は肥満にならないよう食生活を改善することが推奨されています。
