高齢者の足のむくみと下肢静脈瘤の関係
下肢静脈瘤とは?
血管には動脈と静脈がありますが、静脈は二酸化炭素や老廃物などを回収して心臓へと運ぶ血液が通る道ですね。寝ているとき以外、足にある静脈では重力に逆らって血液が上へ向かって流れるため、逆流しないよう弁が設置されています。しかし足のしめつけや血管の老化など様々な原因によってこの弁が壊れてしまうと、血液が本来進むべき方向へ進まなくなり、1箇所に溜まってしまうことがあります。こうして発生するのが下肢静脈瘤と呼ばれる血管の病気です。
下肢静脈瘤には一次性と二次性があり、一次性の症状としては足の血管が浮き出ることが多いようですが、足のむくみもその症状の1つです。二次性静脈瘤は深いところにある静脈に血栓が生じ、これによって血管が詰まって表面の血管が膨らむほか、血栓が肺まで流れて行くと強い痛みが生じることもあります。

下肢動脈瘤の主な症状とその原因
□下肢静脈瘤の主な症状
下肢静脈瘤になると血管が浮き出る症状が出やすいと言われていますが、その他主な症状としては以下のようなものがあります。
・ふくらはぎや膝の裏の血管が太くボコボコと浮き出る・足の皮膚表面に蜘蛛の巣状の細い血管が見えるようになる
・左右不統一に足がむくむ
・寝る前や寝ている間、明け方などに足がつる
・足にだるさや重さ、痛みを感じる
・足の皮膚の色が茶色くなる
・足の皮膚がかたくなる
□下肢静脈瘤の主な原因
足に静脈瘤ができてしまう直接的な原因は逆流防止弁が壊れてしまうことですね。その弁が壊れる要因には以下のようなものが挙げられます。
・長時間の立ち仕事や座り仕事による血流の滞り・妊娠・出産で分泌される黄体ホルモンによる血管の拡張とそれに伴う血流量の増加
・静脈防止弁の弱まりと筋肉の衰えによる血管への負担 ※高齢者に多く見られる
・血液中の脂質、コレステロール、中性脂肪が増えることによる血管への負担
・遺伝による生まれつきの逆流防止弁異常
下肢動脈瘤の治療

下肢静脈瘤が発生する原因のうち、妊娠・出産によって足の付け根や太ももの裏側、陰部周辺にできる静脈瘤は、出産後に症状が消えることがあります。しかしそれ以外の原因による静脈瘤は自然治癒することはないそうです。悪性の病気ではありませんが、適切な治療を施すことによって完治する病気なので、症状に気付いたら重症になる前に診断を受けるようにしましょう。
下肢静脈瘤に施される治療法は大きく分けて4種類あります。
血管内レーザー治療
所用時間:片足10〜30分
レーザーによって逆流している血管を焼き潰す。皮膚に針で小さな穴を開け、血管内にカテーテルを通して行う。
硬化療法
所用時間:片足10〜15分
薬剤で静脈の血流を固めることで血管の内側を壊し、圧迫してくっつける。細い血管にのみ有効で、注射のみで行う。
高位結紮術
所用時間:片足10〜40分
患部付近を数センチ切開して静脈を縛ることで逆流を防ぐ。根治しにくく再発の可能性があるため、ほかの治療法と合わせて行われることが多い。
ストリッピング手術
所用時間:3〜7日
静脈瘤が発生している血管を引き抜く手術。現在では日帰りでストリッピング手術を行っている医療機関もある。
どの治療が最も効果的かは下肢静脈瘤の種類にもよりますが、現在最も多くの人が希望し、最も一般的に行われているのはレーザー治療のようです。保険適用で日帰りで行うことができるため入院の必要もなく、治療費が高額にならないというのも理由の1つでしょう。また、本当に初期であれば保存治療も行われます。いずれにしてもできるだけ早めに受診することがいちばんですね。